なぜ花火撮影にはNDフィルタ?!絞りすぎは画質劣化の原因です。
花火撮影
今年の夏は花火撮影はしましたか?
いろんな撮影方法がありますが、一番スタンダードなのは三脚に固定しての長時間露光や多重露光で撮影する方法ではないでしょうか?
長時間露光
バルブモードを使用してレリーズを使います。
iso感度と絞りだけ設定してシャッタースピードはレリーズのタイミングで撮ります。
また、露光間にうちわなどでレンズの前を覆うことで(遮光)、好きな花火だけを写しこむ手法もあります。
多重露光
複数の写真を組み合わせることで変わった写真に仕上げる方法。
花火の場合には同じ構図で複数の花火を重ねることや、ズーミングやボケと組み合わせた多重露光などができます。
花火撮影の設定
花火を撮影する場合、長い場合で15秒などシャッターをひらきます。
それに応じて感度は低感度(iso100など)、絞りは小絞り(f11やf18)に設定します。
【参考設定値】
iso100
f11〜13
シャッタースピードはバルブで任意
このときF値を小さく(暗く)しすぎると、回折現状により解像度が低下してはっきりしない画像となります。
小絞りによる回折現象
回折現象は小絞りボケとも言われます。
フィルムカメラでも起こる現象なのですが、特にセンサーサイズの小さいデジタルカメラで起こりやすいです。
F値を絞り込むと光の通り道は狭くなり、入射光は少なくなります。この時、絞れば絞るほど絞りバネの裏に入射してきた光が回り込みます。
センサーが受けるこの2つの光が解像度に影響する
解放付近ではほとんど光は回折しないため回折現象による解像度の劣化はありません。
F値をf11やf16それ以上に絞り込むことにより、入射光は減少。回折光は増加。
フレアでコントラストが失われるように、回折光の影響を大きく受ける事により著しく解像度が失われます。
「じゃあF値はいくつで撮影すれば画質が良好な写真が撮れるのか?」
F値が解放付近でもレンズ収差などで良好な画質は得られません。
また絞りすぎても回折現象により良好な画質は得られません。
レンズによって画質が一番良い絞り値は違います。
F4~F11までこの間であればだいたい良好な画質がえられます。
解放F値から一段分絞ったら画質が良くなると言われています。
ex.
EF24-70 f2.8IIなら >>> f4から
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f3.5-6.3 ED VR >>> 18mm時f5から、300m時f9から
レンズごとの詳しいスペックはメーカーサイトのMTF曲線や比較サイトを参考に調べてみてください。
参考リンク
dxomark.comのレンズスペック検索
http://www.dxomark.com/
GANREFのレンズ性能テスト
http://ganref.jp/
データ元は同じ「dxomark」です。GANREFではそれを日本語で解説されています。
例:「AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G EDの性能テスト」
dxomarkデータでは、中央が最大の解像度となるのは「F5.6」。周辺平均が最大の解像度となるのは「F8.0」。花火撮影の為に絞り込むとかなり解像度が失われます。
花火撮影のF値はF8~F11くらいが良い(ざっくりですが)
いろいろ調べたりするのが面倒な方は、ざっくりF8~F11くらいで撮りましょう。
しかし、iso100でF8~F11くらいでは花火はきれいに撮れません。
花火を1発だけ撮るなら大丈夫な場合もありますが、1回のシャッターの間に何発も花火を入れたい場合は、白トビしてしまいます。
絞りf18での花火大会のフィナーレ
【設定値】iso100/f18/15秒
現像で補正をかけていますが、花火大会のフィナーレはf18でもかなり明るく写ります。
白トビを防ぐ為にNDフィルターを使いましょう!
レンズ性能を活かしたまま画質の良い花火を撮るには、そもそもセンサー入る光を暗くしてあげなくてはなりません。それにはレンズにサングラスを掛けてあげます。
カメラにサングラス?NDフィルタ
NDフィルタとは入射光を減らすサングラスのようなものです。
よくあるフィルタはレンズの先端にねじ込むタイプで、NDフィルタは「ND4」や「ND8」など減光力の違いでさまざまな種類があります。
花火撮影はND4
ND4フィルタは入射光を1/4、透過率が25%となり、2段分の減光効果があります。
F16で得られたものがF8とND4で撮れます。
F16での回折による画質の劣化を防ぎ、レンズの性能の活かせるF8で同じ露出で撮影する事ができます。
先ほどの「AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED」なら
F値が「f5.6〜f8.0」のあたりでレンズスペックを活かして撮影したいので、
ND4を使うことで「f11〜f16」での撮影が一番解像度の高い写真となります。
まだ2014年の花火撮影のチャンスはある!
全国的に今年は天候に恵まれず、中止になった大会もたくさんありました。
せっかく休みをとって行こうと思っていたのに行けなかった人。
少し遠くても今年はまだ撮れてないので行きたい人。
数少ない残りの日程で是非綺麗な花火写真を撮って下さい!
発数の多い大会をピックアップしました。(5,000発以上)
2014年9/20(土)北海道 モエレ沼芸術花火2014 12,000発
2014年9/20(土)鹿児島 たるみずふれあいフェスタ2014夏祭り 6,000発
2014年9/27(土)鹿児島 第67回指宿温泉祭 花火大会 5,000発
2014年9/27(土)熊本 南阿蘇 花火&音楽イベント Wonder Aso 2014 10,000発
2014年10/4(土)茨城 第83回土浦全国花火競技大会 20,000発
2014年10/11(土)千葉 NARITA花火大会in印旛沼 10,000発
2014年10/11(土)埼玉 燃えよ!商工会青年部!! 第13回こうのす花火大会 15,000発
2014年10/11(土)東京 2014北区花火会 5,000発
2014年10/12(日)鹿児島 阿久根みどこい祭り 6,000発
2014年10/18(土)熊本 第27回やつしろ全国花火競技大会 12,000発
2014年10/19(日)宮崎 水平線の花火と音楽5 HANABI イリュージョン 10,000発
花火に限らず風景写真が好きな人は是非NDフィルタを!
山並みや工場夜景等、F値をどうしても絞ってしまう撮影には必須です。
全景にシャープな画が得られるよう使ってみてはいかがでしょうか?